最初で最後のカクテル|体験談
カクテルにまつわるエピソードを紹介しています。
今回は23歳女性、派遣社員の方です。
3つの層の綺麗なカクテル
自分が22歳になる直前、去年の今頃になるのですが、よくライブハウス出かけていました。
そこにいくといつも音楽仲間やお客さんと一緒にわいわい騒いでお酒を飲んでいました。
大体ライブの終盤になると周りがテキーラやイェーガーなど強いお酒のショットばかりになります。
騒ぎまくってある程度飲んだ後にそれを飲むのがかなりしんどくなり、大体自分は仲のいい現場責任者にメニューにあるオススメを頼んだり、たまにメニューにはないけれどその人が作れるカクテルをお任せで頼んでいました。
その人が作ってくれるカクテルはどれもバランスが良く、とても飲みやすく、そこに行くのがとても楽しみになっていました。
気がつくと、友達と馬鹿騒ぎして、お酒を飲んで、最後に落ち着いた気分で帰路につく、というルーティンが週末に出来ていました。
ただ、その人が数ヶ月で別の店舗に異動になってしまうという事を知り、とても悲しくなりました。
他の人が作るカクテルが美味しくない、というわけではないのですが、どうしてもその人が作るものでないと、どこか物足りなくなってしまっていたからです。
美味しいカクテルを作るから、という理由だけではなく、その人の人柄などもとても好ましく、もう近いうちに会えなくなる、というのがあまり信じられませんでした。
ただ、まだ異動までには時間があるので、それまではなるべく行くようにしよう、と思いイベントがあればそこに通う日々は続きました。
異動まで大体1ヶ月後となったある日、その人に突然、オリジナルカクテル作ろうと思ってるから、出来たら絶対に言うから飲んでくれよ!と言われました。
他の人にも言っていたとは思いましたが、とても嬉しくなったのを覚えています。
早く完成しないかな、と思いながら、異動までの間、ワクワクしながら通いました。
異動する大体一週間前になり、いつもの通りライブハウスに入ると、バーカウンターの前がいつもより騒がしくなっていました。
何だろう、と思い見に行くと、その人のオリジナルカクテルが完成した、との事でした。
完成品が既にカウンターに置いてありました。
色がオレンジ、ピンク、その二色の間の色の三層で分かれていて、とても綺麗でした。
それを混ぜるとオレンジの強いピンクになり、味は甘さが強いけれどスッキリして飲めて、何杯でも飲みたくなりました。
たくさん飲みたい人がいたので、自分は一杯しか飲めませんでしたが、未だにその味と見た目が忘れられません。
その人とはそれ以来会えていませんが、いつかお会いできたら、また作ってもらいたいです。