真冬のフローズン・ダイキリ|体験談
カクテルにまつわるエピソードを紹介しています。
今回は40代男性、会社員の方です。
知ったかぶりでオーダー
以前読んだ、ノーベル賞を毎年取るかどうかとおなじみになった村上春樹の小説のなかで、かっこいい女性が、
「フローズン・ダイキリ」
なるものをオーダーするシチュエーションが描かれていました。
私自身、当時はまだ若くて、それだけでなくあまりお酒が飲めないこともあって、ほとんどカクテルの名前などもどこかで耳にしたことがあるというだけで、実際の度数やグラスの種類、使われているリキュールなどの知識も全くと言っていいほど乏しく、まさに門外漢でしかありませんでした。
そんな私が、なぜかオーセンティックなバーにうかがう機会がありまして。
往々にしてバーというのは、ドリンクメニュー表などは出てくることもなく、並んでいるボトルであったり、雰囲気、味の好みなどに応じて、バーテンダーさんと相談して、極上の一杯を出していただくということが、大人としてのたしなみというよりかは、当然の慣習のようにもなっているところがありました。
それなのに、私は、全くの無知の状態で、
「何に致しますか?」
の、年配のバーテンダーさんの問いかけに対して、知ったかぶりをしてしまって、
「フローズン・ダイキリはできますか?」
と訪ねてみました。
バーテンダーさんは一瞬びっくりしたような表情を浮かべましたが、
「できますよ」
と快く引き受けてくださいました。
それもそのはず、私がそのお店を訪れたのは、なんと真冬の2月だったのです。
フローズン・ダイキリとは、まさにクラッシュアイスがメインの、いわゆるスタバでいうところのフラペチーノのような、スイーツでいえば、かき氷やフラッペのようなものであり、まさか寒い季節にそんな体の冷えるカクテルを頼む人間がいるとは思わなかったのでしょう。
しかも、私自身も、飲み物というより、スイーツのような形状を予想もしていなかったので、出てきたときには、驚いてしまいました。
クイッと大人の女性のように飲むショートカクテルをイメージしていたのに、スプーンまで付いてきて、なんだかお子様みたいな気持ちになりました。
もちろん、それでは終わることもなく、なんとホワイトラムを使用したフローズン・ダイキリは、度数も33%以上もあるという強いお酒でした。
知らずにパクパク氷とともに口に運んでいると、たったのいっぱいで顔が真っ赤になり恥ずかしい思いがしたことを今でも鮮明に覚えています。
【フローズンダイキリ】
●ホワイトラム・・・45ml
●ライムジュース・・・10ml
●コアントロー・・・1tsp
●クラッシュドアイス・・・3/4カップ
〇ブレンダー